Case Study

不正会計ケース7 一度も会ったことのない外注先

毎月同じ基準の支払いが、4年間静かに続いていた。

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経理部が支払データを見直したとき、ある外注先への支払いが毎月ほぼ同額・同じ承認基準で続いていることに気づいた。 この小さな違和感が、4年間にわたる不正の発覚につながった。

手口の仕組み

あるシステム開発会社で、開発本部長が配偶者の旧姓を使ってダミー企業を設立し、自社の外注先として登録した。 毎月280万円前後という、社内の決裁基準をわずかに下回る金額で発注を続けたため、上位者の承認を経ずに処理され続けた。 役務外注という性質上、目に見える納品物が求められにくいことも、この手口を成立させていた。

決定的だったのは、発注と検収を同一人物が担当していたことである。取引先の実在性を確認する仕組みも存在せず、 4年間で流出した金額は約3億円に達した。

綻びの発覚

経理部が支払データを分析したところ、同額・同基準の支払いが継続していることに気づいた。 取引先の登記を調べると、設立日が不自然であることが判明し、そこから調査が本格化した。

経営者・管理部門への3つの視点

  • 発注・検収・支払の職務を分離する。一人がすべてを握れる状態は、実在しない取引を成立させてしまう。
  • 新規取引先登録時に実在性を確認する。登記情報や実態のある事業所の有無を、最低限のチェックとして組み込む。
  • 支払データを定期的に分析する。同額・同基準の支払いが続く取引先は、決裁基準を意識的に避けている可能性がある。

おわりに

決裁基準のすぐ下で続く「小さな」支払いほど、見過ごされやすい。支払データを定期的に俯瞰し、 一人の担当者が発注から検収までを完結できる取引先がないかを確認することが、最初の一歩になる。

初出: note「不正会計ケース7 一度も会ったことのない外注先」(2026.07.17)

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