Case Study

不正会計ケース10 日付だけが、先に出荷された

「どうせ来週出るもの」という一言が、罪悪感を薄めていった。

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東証上場の計測機器メーカーで、期末の売上目標を達成するために、実際には出荷されていない製品が前の期に計上され続けていた。 最初は数日の前倒しにすぎなかったが、やがて数か月分に膨らんでいった。

不正の手口

営業部長の指示のもと、未出荷の製品に「出荷済み」というラベルが貼られ、計上日だけが操作された。 「どうせ来週には出る商品だから」という理屈が、この操作への罪悪感を薄めていた。しかし、この小さな前倒しが積み重なり、 決算期をまたぐ規模の期ずれへと発展していった。

綻びの発覚

監査法人が実施したカットオフテスト(期末前後の売上計上時期を検証する手続き)で、帳簿上の出荷日と実際の配送記録との乖離が発見された。 同時に経理部門も、翌月である4月の売上取消が通常月の3倍に達していることに気づいていた。

経営者・管理部門への3つの視点

  • 期末前後の売上を配送記録と照合する。帳簿上の出荷日と実際の配送日にずれがないかを定期的に確認する。
  • 期初の返品率を部署別に分析する。特定の部署だけ返品・取消が多い場合は、前倒し計上を疑う材料になる。
  • 締め日直前に売上が集中する「ホッケースティック」現象に注視する。月内の売上推移がいびつな形をしていないかを見る。

おわりに

期ずれは、押し込み販売と同じく「売上の前借り」である。日付を数日動かすだけの小さな操作が、 積み重なることで決算をまたぐ大きな歪みに変わっていく。月内の売上推移と配送記録を照らし合わせることが、最初の一歩になる。

初出: note「不正会計ケース10 日付だけが、先に出荷された」(2026.07.20)

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